上肢装具の遭遇率ランキング!
上肢の装具はOTであれば毎年、PTでもほぼ毎年の様に出題されています。
専門問題でも出てくるため配点も高いです。
必ず押さえておきましょう。
はじめに
装具の問題は、無対策だと極めて厳しいです。過去問や模試でも、装具の問題を初見で解ける人は少ないんじゃないでしょうか。
装具の領域はディープな上にメジャーという訳ではありません。
授業を受けたとは言え、膨大な科目の一つに過ぎませんよね。
実習でも出会う事はそうそう無いのではないかと思います。
ただ国試に限って言えばかなり出題傾向がハッキリしています。
装具名・見た目・機能と対象疾患が結びついていれば解ける様に出来ています。
と言っても、慣れるまではヒジョーに違いが分かりにくい。
名称も、機能が分かる物もあれば、想像できないモノもあります。
いいかげん考案者は自分の名前を付けるのやめろ。
本記事では、過去10年の過去問から遭遇率の高い順にみていきたいと思います。
細かい解説はまたしていきますので、まずは楽しみながら眺めてみて下さい。
発表!遭遇率ランキング‼
第49回~第58回の過去10年分を徹底調査!問題・選択肢に出てきた回数をカウントしています。

キング・オブ・装具「コックアップ・スプリント」
堂々の総合1位は手背屈装具の「コックアップスプリント」。

OTでは、多い年には2回も出現してくる超頻出装具。
2位以下を突き放し登場回数10回という2桁記録を達成。
PTですら上肢・体幹・下肢部門の中でも1位という遭遇率。
また、便宜上分けて集計しましたが、
Oppenheimer型装具とThomas型装具もコックアップスプリントの一種です。
この2つもコックアップスプリントにカウントすると圧倒的です。
パネル型に関しては数が少なかったのでコックアップスプリントに入れて数えています。
パネル型がこちら。

通常のコックアップスプリントと比較して、多少は手関節が動かせます。
装具の中ではメジャーだとは思っていましたが、ここまでとは。
まさにキング・オブ・装具。
ぶっちぎりでコックアップスプリントは、出ます。
意外と遭遇「手関節駆動型把持装具」
2位はなんと「手関節駆動型把持装具」。正答になる事は少なく、9回登場した中で1問だけ。
どちらかと言うと攪乱のために選択肢に出てくる感じですね。
後述しますが用途もハッキリしているので、誤答の1つに並べやすいのでしょう。
ただ、知らないと勘に頼らなければならないですから。
OTでは70%もの高確率で遭遇しますから、覚えておいて損は無い装具です。
この装具の用途は 頚髄損傷のC6レベルで使用されます。
C6といえば国試では超頻出のレベル。
Zancolliの分類における残存機能と絡めて覚えてしまいましょう。
把持装具はいくつか種類があり、呼び方も複数あります。

こちらは「手関節駆動型把持装具(RIC型)」ですが・・・
「RICスプリント」とだけ書かれていたりもします。
非常に不親切で、「どんなの!?」ってなります。
ちなみにRehabilitation Institude of Chicagoの略。
他にRancho型と

Engen型があります。

今の所OTではRICが4回、Engen型が2回、Rancho型が1回。
PTは2回とも型については言及なし。
また、ややこしい事にRancho型、Engen型は他の装具でもある種類です。
何のEngen型なのか、きちんと確認しましょう。
ただ、「どういう疾患にはどの型を適用すべきか」までは問われたことはありません。
把持装具全体として捉えて大丈夫だと思います。
順当の3位「ナックルベンダー」
何が順当って上肢末梢神経麻痺といえば猿手・鷲手・下垂手。やはりこの3つは上位に食い込むだろうと思っていましたから。
下垂手が橈骨神経麻痺で、これが1位のコックアップスプリント。
ナックルベンダーは鷲手が起きる尺骨神経麻痺の装具、というわけです。

"対立"だけど仲良く4位「長・短対立装具」
出ました「Oppenheimer型装具」
長・短対立装具が仲良く4位でした。猿・鷲・下垂手の3大麻痺手の1つ、猿手つまり正中神経麻痺に適用です。
対立装具はその名の通り、主に対立の達成が目的となります。

短対立装具の場合は母指の対立位がとれるようにできています。
手根管症候群などの低位での麻痺に使われます。

長対立装具は母指の対立に加えて、手関節も固定します。
これは高位の正中神経麻痺の場合、掌屈が障害されるためです。
手関節の動きがコントロールしにくいため、軽度背屈位で固定しています。
そして「Oppenheimer型装具」です。
オッペンハイマーが開発したのでしょう。
コックアップスプリントの一種ですので、背屈位で固定されています。

長対立装具と似ているところもありますが、ポイントは母指。
対立装具は母指を外側から中へと包み込みます。
逆に橈骨神経麻痺では外転が困難ですから、外側へ引っ張っていますね。
こちらも順当「虫様筋カフ」
出たよ・・・「Thomas型装具」
虫様筋カフとはこんなやつ。

名前に馴染みがありませんが、疾患としては尺骨神経麻痺(鷲手)への適応です。
ナックルベンダーが「動的」なら、虫様筋カフは「静的」装具です。
目的としては同じで、MP関節の過伸展を防止しています。
「低位・高位」や「動的・静的」など、対照的に理解すると分かりやすい。
そして「Thomas型装具」。
オッペンハイマーと並んで考案者シリーズですね。

背屈の仕方が違うだけで、やはり機能は同じです。
母指の外転位固定なんてオッペンハイマーとほぼ一緒ですね。
OTよりPTで遭遇「BFO」
TOP10では唯一の腕保持用装具「BFO」。今まで出現した3回すべて「BFO」とだけしか書かれていません。
かなり困ります。
略さなければBalanced Forearm Orthosisといいますが・・・。
どちらにしても想像しにくい名前です。

C4~C5Aの頚髄損傷で適用です。
あまりメジャーではない気がします。
似た機能を持つポータブルスプリングバランサー(PSB)の方が主流との文献も。

私もPSBの方が馴染みがあります。
「逆ナックルベンダー」
「IP関節伸展補助装具」
名前がかわいい「パンケーキ型装具」
「逆ナックルベンダー」ナックルベンダーがMP屈曲補助ですので、その逆の伸展補助です。

なかなかのビジュアルですね。
すごい邪魔そう。
そして「IP関節伸展補助装具」
TOP10入りした中では、これだけがイラスト無し。
名前だけの出現です。
有難いことに名前から機能が判明するので、問題ないと言えば無いですが。
「逆ナックルベンダー」も「IP関節伸展補助装具」も手指の伸展に関わります。
3大麻痺手では橈骨神経麻痺に対する装具となります。
「パンケーキ型装具」 こちらもイラストは無く、名前のみの登場。
一体どんな装具なんだ・・・!?と思って調べてみた。
言うほどパンケーキ感は無いんだが・・・。
こちらのサイトの紹介しているのが一番パンケーキっぽいかな?
ジャンルとしては「全手指固定用装具」の一種。
手指屈曲拘縮の予防・矯正に用いられるという。
他にも種類があって、サンドイッチ型もあるらしい。
謎の軽食シリーズ。
遭遇率も高くは無いが低くは無い、次点でした。
ランク外の装具たち
以上が国試頻出の上肢装具たちでした。PTでは過去10年ではほぼ上記だけです。
OTでは疾患によって出てくる装具がいくつかありました。
数ではランク外ですが、以下の通り。
・二分脊椎
OTでも下肢装具や杖などの問題が出た事があります。
・関節リウマチ
装具としては少ないですが、関節リウマチは頻出疾患。
特徴と装具を絡めて学ぶと覚えやすいのでオススメ。
・熱傷
高頻度で出てきますし、装具関連もそこそこありました。
種類というより、治療方針や設定に関する問題が主です。
指用ナックルベンダーやPEライト製手関節装具が過去に出ています。
・頚髄損傷
残存機能レベルによって使う装具が様々。
まずはZancolliの分類を。
その上で、弱っている箇所に対応する装具が考えられればOK。
疾患毎の装具は重要ですので、またまとめていきます!
まとめ
- 国試頻出の上肢装具は押さえておこう。
- PTではほぼこの10種しか出ていません。
- OTでは、加えて疾患毎の装具も覚えておきましょう。
装具は慣れないと違いが全然わかりません。
ただ、国試頻出の装具はかなり偏っています。
すこし身近に感じてもらえたのではないでしょうか。
まずは何度も見る事で、慣れていきましょう♪
PTでは、TOP10以外では「母指Z型変形用スプリント」が出たくらいです。
ほぼほぼ、上記の装具だけで上肢はいけると思います。
PTは下肢・体幹が当然多いので、そちらもいずれまとめていきます。
OTでも登場する装具は大体上記のTOP10です。
が、もう少しだけ踏み込んだ内容で問われる事があります。
上記に加えて疾患特性と装具の関連を理解しておくと良いでしょう。
