義肢・装具

上肢装具対策【PT専門】

公開日:2023/11/09 

PTの上肢装具対策

 

義肢・装具のジャンルは

PTでも上肢装具は度々でます。

出題傾向や頻出装具をまとめてみました!

 

はじめに

PT専門で上肢装具の出題率は10年で9問。

 

概ね年1回は

何らかの上肢装具に遭遇する計算です。

 

膨大な試験範囲の中でこの遭遇率は極めて高い。

対策しておいて損は無いと思います。

 

出現率は、PTのみだとこんな感じ。

PTの上肢装具出現数

その他の装具としては、

以下も各1回ずつ出てきましたが・・・。

 

・IP関節伸展補助装具

・母指Z型変形用スプリント

・逆ナックルベンダー

・パンケーキ型装具

 

これらに関しては、余力があればで良いと思います。

PTでこれらが「正答」となる事もまず無いでしょう。

 

出題傾向

出題の内訳としては

・3大麻痺手 5問

・装具全体 2問

・熱傷 1問

・肩手症候群 1問

 

やはり猿鷲下垂の3大麻痺手がメインですね。  

あとは装具全般の用途を問われる問題。

Oppenheimer型装具が「Milwaukee装具」や「Williams型装具」などに紛れて登場していました。

ここ2年連続で出ています。

上記ランキング外のマイナーな装具は恐らく出ないと思います。

 

熱傷に関する問題にも稀に出ます。

ただ、どちらかというと「熱傷に関して」深掘りする方が良いと思います。

「熱傷」は頻出ジャンルだからです。

 

肩手症候群は、この疾患自体が10年中1問。

ちなみにOTですら10年で2問程度。

こちらも余力があればで良いかと思います。

出そうな所をまずは固めた方が良いでしょう。

 

3大麻痺手

下垂手

もちろん、橈骨神経麻痺で生じるダランとした手の事です、が

意外と「下垂手」という言葉自体PTでは出ることが無い。

また背屈装具は出てくる割には「正答」となった事も無し。

正しく理解し、見極めるのが大事というコトね。

 

名前が少々ややこしいです。

まず、「コックアップスプリント」という名称。

 

「総称」として背屈装具全体を指す場合と、

「静的装具」という装具を指す場合があります。

 

えー・・・図にした方が分かりやすいですね。

こういう事です。 PTの上肢装具出現数

まぁ、国試的には別にどっちでも良いです。

なぜなら、これらが背屈装具だと分かれば良いからです。

「この中のどれが適応か」等とはOTですら問われません。

学習の際に混乱しないように念のため書いておきます。

 

見た目に関しては、当然、背屈している事が特徴なのと、

母指外転を補助しようとしている点で見分けましょう。

 

特に困るのがオッペンハイマーとトーマス。

全然名前からモノが想像できないタイプですね・・・。

トーマスはPTでは絵も出た事ないですがこんな装具で、

この「上に突き出した懸垂具」が最大の特徴です。

この辺がなんか「きかんしゃトーマス」っぽい(?)ので、

なんとかそれで覚えて下さい

Thomas型懸垂装具
ほらっ。煙突っぽいっ。

なのでこれをもってトーマスとしましょうね!

Thomas型懸垂装具
ね!

 

あと、

オッペンハイマーは・・・うーん。

 

トーマスからの・・・

トップハムハット卿

オップハンハット

オッペンハンマット

オッペンハイマー

オッペンハイマー!!

 

・・・すみません。

良い覚え方あれば教えてください。

次いきます。

 

猿手

はい、正中神経麻痺ですね。

特に母指球の筋萎縮による対立障害がターゲットです。

こちらの装具は、名前に関しては、「対立」とついてくれているので安心。

いくつか種類がありますが、「対立」とついていればOKです。

OTでは長対立装具と短対立装具の見極めが必要ですがPTでそこまでは不要でしょう。

(ちなみに、内在筋のみの麻痺なら「短」、外在筋の麻痺もあるなら「長」です。)

Rancho型とかについても無視で大丈夫

これも、OT専門問題でも見分けてませんから。

 

見た目に関しては、母指を外側から包み込んでいる感じ。

長対立装具だとこうで、

(ちなみにコレがRancho型ですが、そこはどうでも良いです)

57OTA032

短対立装具だとこう。 57OTA031
母指を対立位に持っていこうと外側から押さえつけていますね。※

例えば、先ほど出てきたOppenheimer型装具と比べてみると一目瞭然。 56PTA053
こちらは橈骨神経(母指外転筋)麻痺を補助するために外側に引っ張っています

 

※「母指を外側から押さえつける」だけだと手関節駆動型把持装具もそうなるんだけど、それはまた後述します。

 

鷲手

続いて、尺骨神経麻痺の「鷲手」。

 

頻出はこの2つ「ナックルベンダー」と「虫様筋カフ」

・・・ですが、

ややこしいよなぁ。

 

虫様筋って尺骨・正中神経の両側支配なのに

名前的には尺骨神経麻痺にだけ適応なの?みたいな。

 

すみません、今の所特に良い覚え方は無いので根性でお願いします。

「虫様筋カフ」は、鷲手の尺骨神経麻痺です。 虫様筋カフ

 

ちなみに、ナックルベンダーと虫様筋カフは、同じ用途で静的と動的の関係にあります。

静的だと良肢位の保持や、特定の手の形での機能の向上ができます。

動的なら手の動きを大きく阻害せず、目的の機能を補助できます。

この辺の見極めも問われる事はありませんが、

対象的な物をセットで覚えると印象に残りやすいですよ。

 

こちらがナックルベンダー。 ナックルベンダー

ナックルベンダーというのもよく分からんので調べてみた。

ナックルとは拳骨とか握りこぶしに関連する意味合いがある。

野球でもナックルボールという変化球がありますね。

由来は諸説あるが1つには「曲げた指の第1関節(Knuckle)部分でボールを握り、突き出すように投げる」からだという。

やはり握る事に関連するのだ。

 

ともかく、握らせようとしてくるタイプが「鷲手」適応です。

 

その他の装具

ランクインしている頻出装具だと、

「BFO」と「手関節駆動式把持装具」ですね。

 

どちらも主な用途は頸髄損傷

頸髄損傷に関連する問題では起き上がりや移動など、PTらしい問題がいくらでもあります。

頸髄損傷に関する上肢装具の問題は今の所なく、今後もほぼ出ないと思われます。

一応、選択肢に出た時に迷わない様に解説しておきます。

 

BFO

BFOとはBalanced Forearm Orthosisの略。

問題はいつも「BFO」とだけしか記載されていないのだ。

知らないと全く意味不明。

こんなやつです。

BFO

C4~C5Aの頚髄損傷で適用です。

前腕で腕全体をがっつり支えている、重度者用の装具ですね。

 

手関節駆動式把持装具

パッと見は長対立装具みたいな感じ。

手関節駆動型把持装具

実際、対立位になるように作られています。

C6レベルが適応であり、そのレベルだと対立筋ふくむ内在筋が効かないからでしょう。

大きな違いは手関節部が、名前の通り駆動する仕組み。

この手関節の動きを利用してテノデーシスアクションによる把持を補助するわけです。

色んな型がありますが、こちらもOTですら問われませんが・・・。

見た目の判断材料として何種類か並べておきます。

名前は覚えなくて良いので記載もしません。

大事なのは、どれも「手関節駆動式把持装具」だということ。

 

手関節駆動型把持装具(Rancho型)

手関節駆動型把持装具(Engen型)

 

以上です★

上記2点は頚損用の装具だと思ってもらえれば良いですし、最初にも書きましたがPTで頚損の上肢装具が問われる事は無いでしょう。

 

まとめ

POINT
      
  • 頻出の装具を押さえておこう。
  •   
  • 同じ機能の装具だと分かれば良い。
  •   
  • 名前と見た目と用途を結び付けておきましょう。
  •   
以上、PT用の上肢装具対策でした。

上肢関連は苦手という方も是非、頻出だけは押さえておきましょう。

年1ペースと、本当によく出ます。

名前・見た目・用途の結び付けはもちろんですが、

ポイントはPTの国試で問われるレベルです。

細かな違いまで完璧にしなくても良いのです。

同じ機能の装具だと分かれば大丈夫!

 

 

◆参考文献

橈骨神経麻痺に用いる装具 | なぜなに。装具 まとめ

ナックルボール - Wikipedia

knuckleとは・意味・使い方・読み方・例文 - 英ナビ!辞書 英和辞典